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【お気に入り】異色のサスペンスアドベンチャー『Forget me not ~パレット~』

By asabat, 2015/02/15

新作ゲームのプレイインプレッションだけでは、時間的に限界が来そうなので、おれが今までゲームを遊んできた中で、きらりと光るものを感じた作品を紹介していく記事を不定期で放り投げていこうと思います。きらりと光るというのは、多少の欠点があっても、面白い部分が多いというイメージでとらえていただければ幸いです。あと、おれには、ひねくれたオタクの精神が宿っているので、有名なソフトはほどほどに、あまりプレイされていないであろうソフトを積み上げていくことになりそうです。

今回紹介するのは、2001年4月6日に発売されたプレイステーション用ソフト『Forget me not ~パレット~』。ジャンルはアドベンチャー、物語のテイストはサスペンス色の強いものになっています。知っている人も多いかもしれませんが、本作は『RPGツクール95』で製作された作品をもとに、エンターブレインがリメイクを施したものです。オリジナル版は第4回アスキーエンタテインメントソフトウェアコンテストのグランプリを受賞している著名なフリーゲームなのですが、このリメイク版も、その良さを損なわないよう、品のあるリメイク手法がとられています。(シナリオの流れはオリジナル版とほぼ同じで、とある場所に重要な分岐が増えています。この追加されたシナリオが、世界観をより深めてくれるものになっているので、完全版といってもいいかもしれません。)

▲精神世界で、さまざまな場所を「調べる」ことで記憶を取り戻していきます。

▲精神世界で、さまざまな場所を「調べる」ことで記憶を取り戻していきます。

 

▲グラフィックに味あるイベントシーンも見どころのひとつです。

▲グラフィックに味あるイベントシーンも見どころのひとつです。

本作のきらりと光るところといえば、やはりその独特の探索システムです。2Dで描かれたマップの中を歩き回りながら、記憶の手がかりとなるアイテムを見つけていくのですが、ここに本作独自のパラメーターである「精神力」という概念が絡んできます。この精神力は、移動したり、壁を壊したりすると1ポイント消耗します。これが0ポイントになってしまうと、夢の世界から追い出されてしまうので、道中にある回復ポイントや、精神力を上昇させるキーアイテムを見つけたりしながら、探索を進める必要があります。探索を進めて、キーアイテムがある程度集まってくると、探索できる場所も増えてくるので、より深い記憶を取り戻すことができるという仕組みなんです。この、精神力のやりくりをしながら、探索を進めて記憶を取り戻すという過程には、選択肢を選んでいくだけのアドベンチャーゲームとは一風違った没入感があります。難度自体はそれほど高くないので、パズルゲームのようにセンス的なものが問われることもありません。プレイフィールとしては、脱出ゲームに近いところも多く、この作品が当時にもっと注目されていれば、起源のようなものになっていたかもしれません。

▲精神世界は迷路のようになっていて、この中で記憶を取り戻すことで画面左側に表示されている精神ポイントが増加します。部屋と部屋の移動には、精神ポイントが必要なので、序盤は探索できる範囲が限られています。

▲精神世界は迷路のようになっていて、この中で記憶を取り戻すことで画面左側に表示されている精神ポイントが増加します。部屋と部屋の移動には、精神ポイントが必要なので、序盤は探索できる範囲が限られています。

▲精神力が尽きてしまうと、精神世界から追い出されてしまいます。精神世界にはすぐアクセスできるので、再挑戦を繰り返しつつ、記憶の探索を進めていきます。

▲精神力が尽きてしまうと、精神世界から追い出されてしまいます。精神世界にはすぐアクセスできるので、再挑戦を繰り返しつつ、記憶の探索を進めていきます。

▲精神世界は、ダンジョンのようなつながりを持っています。リメイク版では、オリジナル版にはなかったマップ機能が搭載されたので、より遊びやすくなっています。

▲精神世界は、ダンジョンのようなつながりを持っています。リメイク版では、オリジナル版にはなかったマップ機能が搭載されたので、より遊びやすくなっています。

シナリオについては、プレイヤーの好みで評価が変わりそうですが、ゲームシステムとストーリーの組み立て方が非常にユニークなので、退屈を感じることはありません。今の時代では、わりとありきたりな要素もはいっているのですが、この作品がつくられた当時のことを考えると、なかなかに前衛的な内容だったのかもしれません。プレイ時間は、5時間もあれば十分終わるくらいです。当時フルプライスで発売された作品としては物足りないかもしれませんが、ちょっと変わったゲームを遊んでみたいという方や、アドベンチャーゲームファンの方には、オススメです。また、この作品は出荷本数が少なかったのか、中古価格もやや高めなので、コレクターの方は新品を買っておくと値上がりを期待できるかもしれません。

ちなみに、おれがこのソフトを買ったのは完全にジャケ買いで、そのデザインをみたときに、都会の中で場末の喫茶店を見つけたような喜びに包まれたからです。「隠れた名作」として語られている作品のジャケットを見ていくと、万人受けするとは思えない前衛的なデザインだったり、はたまた手抜きにしか見えないものがあったりしますよね。この作品が前衛的なのか手抜きなのか、人によって受ける感覚はさまざまでしょうが、普通でなさはなんとなく察していただけるのではないでしょうか。