10年ぶりくらいにドラマ版『多重人格探偵サイコ 雨宮一彦の帰還』(2000年)を観なおしました。
原作のほうはリアルタイムで集めているのですが、今年になってようやく完結の動きが見えてきて、今ドラマ版を見直すとどうなんだろうと思い立ち、DVDとはいえ、HD化されていないこの作品を一気に観賞しました。かっては、レンタルビデオ店で、VHSとして貸し出されていたところも見かけましたが、DVD、Blu-rayの時代になって、レンタル商品としては全く見かけなくなりました。おれの持っているDVD-BOXは希少なのではと思いましたが、わりと中古で出回っているようです(笑)
ドラマ版の監督は、三池崇史さん。脚本は、原作者である大塚英志さん。
この手の作品の映像化では、これ以上ないといっていいスタッフ、キャスト陣の作品になっています。
ドラマが放送されたのは、2000年の5月、放送チャンネルはWOWOW。
当時としても、このドラマは、原作ファンのための作品だったという印象なのですが、いろいろな伏線が回収された今見直すと、ドラマの中で意味がわかりにくかった要素や展開が、原作の中で後に活かされていることを確認できます。ドラマ版の物語自体は、原作とは違っているのですが、キャラクターの立ち位置や事件の意味合いなどは、設定としてリンクしているものが多いんです。
演出がチープだったり、やや冗長なシーンがあったりして、見ていて辛い部分もちらほらありますが、物語や描写などは、原作ファンなら楽しめるものに仕上がっています。海外ドラマのクオリティと比べると苦しいものがありますが、当時の、漫画原作のドラマとしては、かなり力の入った作品です。
登場人物が似ている、似ていないみたいなところでいくと、大杉漣さんがあまりにも笹山的雰囲気を醸し出しているので、その点だけでも凄まじい安心感があります。コメンタリーで「物語はよくわからない」的な流れの発言があったんですが、映像を見ていると、完全に笹山になりきっているように感じます。
有害図書指定のきっかけになったであろうゼリー漬けやフラワー殺人など、残虐なシーンは、映像表現としてはかなりマイルドですが、しっかり物語の中に収められています。異常な事件が起きたあとの、登場人物たちのドライな反応なんかは、原作にかなり近いです。(今観るとマイルドと感じるものの、WOWOWとはいえ、当時は過激な表現で、話の内容よりも、グロシーンのほうが話題になりました。)
平野綾さんや、栗山千明さんも役者として出演しています。
放送当時は全く気付かなかったので、今見ると新鮮に感じます。
DVD-BOXには、キャストのコメンタリーも収録されているのですが、平野綾さんは完全に天使です。
あとは、珍しいキャスティングでいくと、村田清役が、大塚ギチさんです。
原作のほうも、2015年内に完結するはず!というところまできているのですが、終わりが見えてくるというのはやはり寂しいものです。田島昭宇さんのtwitterで、22巻では完結しませんでしたとのアナウンスがあって、少しほっとしました(笑)
1997年から連載されている作品なので、途中で集めるのをやめてしまった人も多いかもしれませんが、この作品、今の時代にはかなり合っていると思うので、西園弖虎を主人公にして、ドラマやアニメをやってほしいですね。ドラマでも、今の映像技術なら、いろいろとできることも多そうです。
2009年頃に、ハリウッド映画化みたいな話を聞いたのですが、続報は今のところなし。話が出て立ち消えるということも多いので、期待しているというわけではないのですが、ファンとして、そういった流れも見てみたいところです。