延期に次ぐ延期を越えて、ついに発売されたPS Vita
2014年7月31日→2014年秋→2015年予定→2015年予定→2015年6月25日→2015年7月30日。
2015年になったあたりで、発売中止もありうるなとか思ってましたが、すごいぜマーベラス!しかも蓋をあけてみたら、え、この値段でこんな大盛りの定食出てくるんすかみたいなコスパ抜群のボリュームになっております。
ゲームの内容は、よくあるPVとともに音ゲーを楽しむタイプのもので、ボタン4種類、方向キー4方向を使って譜面を埋めていくというものです。セガの『初音ミク』のアレンジ版といったら、しっくり来る方がいるかもしれません。
公式サイトで紹介されているように楽曲の数はかなり多めになっています。
曲数が多いと聞いたときは、DLCに偏っているのかなと思っていたのですが、そんなこともなく、新しい譜面がばんばん出てきます。。楽曲の尺は、フルコーラス版を使っているので長めですが、譜面が忙しいので、遊んでいると時間を忘れてしまいます。
また、譜面は、画面のいろいろな場所に吸い込まれていくような形になっていますが、ここはゲーム的でかなり面白いです。イージモードやノーマルモードは、難度を抑えるために使うボタンの数を減らしているのですが、ユニークな見た目の譜面のおかげで、退屈することはありません。
唯一の弱点は、やはりそのCGモデルのクオリティでしょうか。IAのグラフィックや動作については、セガの『初音ミク』シリーズを知っている人からすれば、やはり微妙に感じてしまうと思います。キャラクターの動きもそうですが、盛り上がる場面に限ってキャラクターを隠すようにかぶってくる譜面も多かったりして、なんとなくそこが”演出面のごまかし”のように感じてしまうことも少なくありません。この部分は、パッケージ絵などのIAさんが可愛いことを活かして、脳内妄想で保管することをオススメします。
( IAのCGモデルを使っていない、既出のPVを採用している楽曲も多いので、全ての演出がダメというわけではないのですが、見どころとなる部分だけに目立つ欠点であることは確かです。)
▲IAのCGモデルは表情や動きが乏しい部分もちらほら。その動きを隠すかのように譜面が出てくることが多いのは、制作側の意図とは思いたくありませんが、盛り上がりどころで譜面で画面が埋まるのは寂しいですね。
ただ、このIAのCGモデルについても、手抜きだなあという気はしないんです。『初音ミク』シリーズを知っているからこそ、ちょっと弱く感じるものの、衣装の多さなどはかなり頑張っていますし、カメラワークを使って変化をつけようとしているのもものすごく伝わってきます。
スタッフのこだわりや、熱意が伝わってくる作品であることは疑いようもなく、あまりにもボリュームのある楽曲の数と、多彩なゲームモードを見ていると、通常版4800円という破格の値段で売られているこのソフトに、CGのことまで言ってごめんよという、申し訳ない気分になってしまいます。おれは限定版を買いましたが、このソフト1万円でも安いのでは、と思ってしまうほど、あまりにもボリューミーです。IAの有名楽曲がほとんど詰まったこの大盤振る舞いを見ていると、次回作にネタを残すことなど考えず作ったのではという、男前な制作スタンスを感じます。
DLCがあると発売前にきいて、楽曲を小分けにした悪しきDLC商法かと思いきや、そんなことは全くなく、製品版を遊んでみたら、おいもうちょっとDLCに回しとけよと思うようなボリュームで本当にすみませんでした。DLCはこれから、ちょくちょくでてくるようなので非常に楽しみです。昨年末くらいにでたDLCまみれのRPGはマジなんだったんだ、許さんぞ。
ロード時間の短さや、使いやすいインターフェイスなど、音ゲーとしてのクオリティは、今までに発売されてきた有名どころの音ゲータイトルと比べても恥ずかしくない完成度です。
楽曲の難易度というところについては、正直おれは音ゲーがあまり得意ではないのでよくわからないんですが、周りの音ゲーマーに軽く話を聞いたところでは、「クリアーするだけなら簡単、スコアを伸ばそうとすると難しい曲もある」とのことです。
音ゲーがあまり得意ではないおれが楽しめているところを見ると、本作は音ゲーは苦手という人の入門としてほどよいソフトなのではと思っています。正直、おれはIAの曲をすべて知っているわけではないんですが、知らない曲も含めて、ものすごく楽しめています。贅沢なアルバムのようです。
そして、IAの楽曲は、ボーカロイドの中ではかなり聴きやすい作品が揃っているように感じます。おれは経験なるkey信者なので、LiaさんがIAの声の元をやっているという理由だけでもう十分なんですが、ボーカロイド楽曲鑑賞の入門編としても、最適なコンテンツではないでしょうか。
延期に延期を重ねたことで、心配していたりもしたのですが、蓋をあげてみると、10点満点をつけたいほど素晴らしい作品だと思います。PVを使いまわしたから手抜きだ、CGモデルが残念だから手抜きだというような意見も見かけますが、快適なプレイ環境を目指して作られたゲーム設計を見ていると、おれは、全然そんな風には感じません。
素晴らしい作品です。
ああでも、最後にこれだけは書いておこう。限定版の箱も美しかった、素晴らしかった。ただ、その内容は、もし次回があれば、違うものにしてほしい!限定版の内容は、プレイステーションVitaをカスタマイズできるアイテムの数々で、ポーチ、スキンシール、デコレーションステッカー、クリーナークロス、ストラップ、チャームストラップ、カードケース、コレクションBOXとなっています。見た目も悪くないし、作り込みも感じます。ただ、この手のアイテムは、ハードの寿命とともにお蔵入りしてしまううえ、使っていると劣化も激しいんです。
おれの場合、限定版は買うだけで満足、みたいなところもあるのですが、限定版にはもっとこうドヤ!できる独特なアイテムを期待しております。