フレーム表のあれこれ

By asabat, 2014/09/08

制作のほうに関わらせていただいた、『ウルトラストリートファイター4』のムックが発売されました。告知遅いですねすみません。「久々に」フレーム表付きのムックになります。

最近はアルカディアムックにも、フレームのないものというのがいくつかありましたが、今回はいわゆるガチ勢の方にも、安心して手に取っていただける本になっているのではないでしょうか。おれが作ったわけではないですけれどもね、この表……。フレーム製作者のスタッフ、ほんまありがとう。

誤植があるから安心できないというのは、非常にわかりますが、訂正など随時インターネットのほうに出ております。

フレーム表は基本的に、編集部調べです。つまり、ライターが調べたものを掲載しています。ゲームの作り手側から、フレームに関する情報が来ることは、僕の知る限りまずありません。調べ方というのも、大変アナログで、ひとつひとつの技を、カチカチと試して、数値を表に書き込んでいくんです。
昔は、発生フレームなんかは手動でコマ送りして調べていたりしたんですが、技術の進歩で、ちょっとここは楽をできるようになりました。しかし一方で、持続、硬直差、低姿勢などは、いまだカチカチとやっているものがほとんどです。つまり何が言いたいかというと、結構骨の折れる作業で、かつ、この作業もゲームの全体がある程度わかっている人にしかできないものということですね。

このフレーム表、上記のような理由で、作り始めてから結構な時間がかかります。慣れている人で、1キャラクター8時間くらいとか、そういうイメージです。発生だけを調べるなら、もっともっと早く終わりますが、持続だって硬直だって、姿勢だって、特殊な性能だって表にないと、もうそれは「フレーム表」と呼べませんよね。要素が多いゲームなら、1キャラクターあたり10時間を超えることがあります。モードごとに技の性能が違ううえに、同じ見た目の技でも微妙に性能を変えている『メルティブラッド』のことを言っているわけではありませんよ、きっと!

この時間のかかる表を全キャラクター作るとなるとですね、「仕事としてやるにはそれなりの対価がいる」という当たり前のところで、製作費との兼ね合いがあったりするわけです。フレーム表を入れることで資料価値が上がって、売り上げがよくなるということはもちろんあるわけですが、フレーム表を入れるコストのほうが高くつくというような場合も出てきます。

さらに最近のゲームの傾向として、「アップデートで大きくゲームが変わる」ということがよく起きるので、フレーム表を作ったものの、そのデータとしての寿命が短いということもよくあります。アップデートによって、ゲームが面白くなるのは良いことですが、アップデートごとに攻略本、フレーム表を作り直すというのは現実的ではありません。ここらへん、出版社側はメーカーとの交渉(アップデートスケジュールの確認など)を経てムックを出したりしているはずなんですが、アーケードのゲームを見ていると「やっぱアップデートするわ」みたいなことも結構起きているような印象があります。商品寿命1か月の攻略本、出版する側にしてみればリスクしかありません。

そんなこんなで、フレーム表、いろいろと繊細なようでございます。

そして、おれが知る限り、フレーム表を作るノウハウ的なものが、ゲームライターの間でも広く知られているような気配もしません。調べ方もそうですし、データの整理の仕方なんかも、一子相伝の殺人拳ではありませんが、継承者は少なめです。(フレーム表を作り始めたころの古の技術には、「ストップスイッチを1フレームずらし押しする」という技なんかもあったそうです。)ゲーメスト、アルカディア的なところの関係者以外で、作っている人、ところはあるんでしょうか。実際、アルカディアライターの名前が制作スタッフに出てこない格闘ゲームの攻略本に、フレームが入っていたためしはありません。

あ、でも、どこかの出版社の本で、「これはアルカディアのフレームのまるパクリ転載じゃねえの、誤植もそのまま載ってるし」と疑われる事案が過去にいくつかありました。これはその関係者と会ったときに煽るネタとして心の中に面白く溜めております。

真面目な話をすると、

格闘ゲームライターになりたいという方がいれば、

フレーム表をしっかり作ることができれば、結構な仕事はあるとおもいます。ギャラも自分で交渉できるほど、作れる人が少ないので。

あ、おれはフレーム表、1キャラクター10万円で、相談に応じます。

いや、やっぱり今をもって、100万円に値上げします。

依頼、お待ちしております。