PS4『聖闘士星矢ソルジャーズ・ソウル』のキャラランクを作り終えた、ゲームを最大限に楽しむための集団”ゴジライン”は、安堵の中にいた。ここからランクが多少変わることはあれど、強いキャラクターはこんなものだろう。
そんな油断が蔓延していたが、そのときは、誰一人としてそのことに気づかなかったのだ。
そして、自らの手でひとつの答えのようなものを作り出してしまったことで、向上心を失いつつあったのも事実だ。
油断と怠慢にさらされ、ゴジラインが腑抜けの集団になりかけたとき、奇跡は起こった。
きっかけは、ここ最近、ヒルダに飽きたのか、アイアコスを使い続けている大久保ゴジラだ。
無理もない。ヒルダは他の中堅以下のキャラクターを蹂躙してしまう強キャラ。ゴジラインには文句厨しかいないので、「ヒルダ、強すぎる」、「コンボの回収がおかしい」などの文句の嵐の中、ヒルダを使い続ける精神力は彼に残されていなかったのだろう。ゴジラインは、仲間であり、ライバルなのだ。
大久保ゴジラ「冥界三巨頭の一人、アイアコスさん、勝てないですね」
おれ「アイアコス、がんばってもキャラが弱いよね」
回転王「必殺技が微妙だし、通常の技も普通だよね」
大久保ゴジラ「おれ天雄星好きなところあるんで、もうちょっとやってみます」
おれたちは、エネルギッシュな大久保ゴジラに、心を打たれつつも、どうせ何もみつかるまい。
そう思っていた。
大久保ゴジラ「アイアコス、コンボ仕上がりました」
おれ「ほー。回転王と対戦してみたら」
回転王「さすがにそのキャラでは厳しいと思うけどな」
大久保ゴジラ「自分、天雄星、信じてるんで」
おれ「天雄星ってどこにあるの?そもそも宇宙に存在してるの?」
大久保「わかりません」
大久保ゴジラのアイアコスと、回転王の試合を見守るゴジライン一同。
見れば、回転王が押されているではないか。
勢いのある急降下蹴りから、コンボを食らい続けている。
回転王「これは、ジャンプ強が、やばい」
おれ「またまた、やめてくださいよ回転王さん。普通の2D格闘ゲームと違って、このゲームには、急降下してくるキャラが山ほどいるんですよ。」
ナカジマ「かみ合っただけかもしれんしな。おれもやってみるわ」
このゲームは、プレイヤー性能とは別に、かみ合った、かみ合わなかったというスピリチュアルな勝ち負けのつき方がある。我々ゴジラインでも、ギャラクシアンエクスプロージョンだけで死んでいったものたちは「かみ合わなかった」などとほざいている。
ナカジマ「このジャンプ強、判定おかしいぞ」
おれ「格闘ゲーマー、ちょっと強い技くらうと”判定が強い”とか言い出すからな。オカルト乙」
ナカジマ「おめえもやってみろ」
おれ「こういう技はな、対策があるんだよ。見てろ」
本作における急降下技の対処方法は、移動やジャンプで横方向に逃げて、着地硬直にEXダッシュを刺すというもの。これができてこそ、一流の聖闘士というもの。ナカジマは、最初にハーデスやミーノスを使っていたから、こういう基礎が身につかなかったのだろう。
回転王「あれ、浅葉さん?」
ナカジマ「対策、隠してるんすか?」
おれ「この技判定つええわ」
ナカジマ「オカルト野郎、乙」
おれ「大久保ゴジラがついにセブンセンシズに目覚めた」
おれ「横によけようとしても刺さることあるし、空対空で刺さるとそのまま地上コンボいけるとか、完全にチート」
回転王「しかも、こいつのコンボ、いろんなところがバースト対策になってるよね」
ナカジマ「うむ。これは、ちょっとびっくりした。Aランクに加えてもいいくらいつよい」
がちょ「対戦してみないとわからない系の強さだね。モチべあがったわ」
大久保ゴジラがいなければ、見つかることのなかった強キャラがここになって出てきた。
これは、奇跡であり、初心を呼び戻す火種だった。
アイアコスを弱いと決め付けていた、ゴジラインの中に、緊張と、興奮が同時に走った。
回転王「ちょっと全キャラクター見直すわ」
ナカジマ「おれはタナトス調べる」
おれ「ちょっと急降下技のキャラ差、調べてくる」
面々の目に、あらぶる炎が宿った。
まだまだ、ゴジラインの戦いは続きます。